Q&Aいまさら聞けないテレワークの常識
著者:武田かおり、中島康之
発売日:2020年10月16日
テレワークに関わって10年以上のキャリアをもつ社労士がアドバイス
10年以上に渡って、企業のテレワーク相談を受けてきた社会保険労務士(社労士)の2人。
日本でテレワークという言葉が急激に認知された2020年。
それ以前は「テレワークって電話でする仕事?」「テレワークってテレアポ?」という質問をされていたそう。
20年前だと日本でのテレワークの知名度は皆無に等しく、勉強するにも図書や文献がなくて海外の書籍で学んでいたとのこと。
テレワークのよくあるケースを、法律面から事細かに紹介
テレワーク × 就業規則・労使協定・労働契約法・労働基準法...
いかにも「社労士が書きました」とわかる少し硬めの文体。
行政がわかりやすく説明した資料といった感じ。
就業規則・労使協定・労働契約法・労働基準法などから見た、会社内でのテレワーク運用が事細かに書かれている。
会社内でのルール作成・運用だけでなく、テレワークを実務的にマネジメントするにあたってのポイント紹介もしている。
長年のノウハウから得たものなので、非常に具体的な内容が列挙されている。
本のターゲットとしては、特に企業内のテレワーク担当者。必携の書レベル。
テレワークを導入したが、途中で挫折した会社は多い
テレワークを導入しようとしたが、生産性の低下になってしまったので挫折した会社は多いと聞きます。
この本、もしくはテレワークに詳しい社労士に相談すれば再導入の道が見えるかもしれない。
一気にテレワーク化するのではなく、じょじょにテレワークを導入するのが大事。
巻末には「ハイブリッド型テレワーク勤務規定」のサンプルが掲載されている。
これからテレワークをしようと考えている会社に参考になりそう。
テレワークを推し進める「いまさら聞けない」悩みの解決書という位置付けの本。
日本でのテレワーク事情はまだまだ遅れているので、今後じわじわと注目される本になりそう。
テレワーク 質問集
テレワークQ&Aの一部
- 問題がある社員をテレワークさせないようにできるか?
- 昼休みの時間は自由にとらせていい?
- 社内メンバーのメンタル不調に気付くポイントは?
- 高齢社員のテレワーク活用法は?
- テレワーク時の労働災害はの適用は?
など、現場で見て聞いたQ&A集になっているので、テレワーク特化ブログのリモライフとしては非常に参考になった。
高齢社員のテレワーク活用のケースを紹介。
建築関係の会社で、建築現場に若手社員が向かってWebカメラで動画撮影して、そのストリーミング動画を見た経験豊富なベテラン高齢社員が指示を出すといったものだった。
若手社員は経験になるだろうし、ベテラン高齢社員は経験を活かせる。win-winの関係。
個人的に興味深かった点
本著では「半日テレワーク・半日有給」を推奨していた。
午前中は自宅でテレワークをして、午後は家族や友人との時間を持つ。
通勤時間が要らないので、かなり有意義な時間の使い方ができそう。
私も賛成なので広まって欲しい。
在宅ワークと在宅勤務は似ていて違うもの、というのが勉強になった。
在宅ワークは請負契約、在宅勤務は雇用契約。
知らずに使っている人は多そう。
過去の緊急事態宣言下でとったアンケートでは、自宅でWeb会議をする場所としてトイレ・お風呂といった答えがごく少数あり驚いた。まさに緊急事態。
現場から寄せられる悩みや、各社の失敗事例・成功事例をもとに、実践的な知識を授ける