オンラインでズバリ伝える力
著者:佐藤綾子
発売日:2020年9月8日
パフォーマンス心理学の専門家、非言語表現のプロ
著者の紹介
1979年 ニューヨーク大学大学院でパフォーマンス学を専攻。
1980年 サイエンスとして自己表現の研究と教育を開始。
パフォーマンス心理学の第一人者。
現在までの受講生は4万人。
ビジネスリーダー・管理職・学生、首相経験者、50人以上の国会議員にスピーチを指導。
日本人の顔の表情の表出と読み取りなどの「非言語表現」では世界一の実験データを持つ。
マスコミには「人間嘘発見器」というあだ名で呼ばれている。
「オンラインでの自己表現-勝負は非言語力で決まる」
テレワークで物事をうまく進めるには「空気を察する」よりも「見える化」が大事という本がある中、あえて非言語表現を鍛えるという本著。
テレワークではない会社の内外の仕事は、視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚の五感を使ってのコミュニケーション。
オンラインでは視覚・聴覚のみのコミュニケーションとなりました。
この視覚と聴覚に訴えかけるパフォーマンスを鍛えるというのがテーマ。
この場面ではこうした方がいいと主張し、なぜなら○○○はこうなっていますなど、自己データ・心理学用語・有名人の名言などエビデンスを添えて根拠を示してくれる。
パフォーマーとしての技術・能力を上げてくれる本
オンラインでは会議前の準備が大事
第一印象は大事、とは数多くの本・人に言われてきた常套句ですが、その第一印象はたった1秒で決まるとのこと。
オンラインではWeb会議の冒頭一瞬が命。
好意を持つ要素を実験した、有名なメラビアンの法則では言葉8%+声32%+顔の表情60%。
何を話すかよりも、どんな表情をするかが大事。
わかっているがなかなかできない・・・なので日頃から練習しておきましょう、と表情のトレーニング方法が紹介されている。
Web会議ではカメラフレーム内に写るものに気を配る。
ライト(照明)は必須事項になっていた。
Web会議中の立ち回り
オンラインでは普段より少しゆっくりペースで話した方が相手の理解度とインパクトが合うらしい。
そのベストな文字数が1分間に213文字。
私はWeb会議で普段と同じスピードで話していて、なんだか相手の反応が薄くなっていくな、と感じていたので実践していこうと思った。
大きい声よりも強弱のある声が心に響くというのはなるほどな、と思わされた。
話が上手い人は抑揚がしっかりつけられている記憶がある。
タメも大事で、間をおいてから本当に伝えたい言葉を放つ。
ベテランの芸人みたいだ。でも練習すれば習得できそうな気もする。
キネシクス(ジェスチャー)は日常でも大事だが、Web会議ではより重要なものになる。
OKサイン、サムズアップ、NGサインなどシンプルなものでも相手に十分伝わる。
言葉とともにモーションすれば効果的。
Web会議では画面に映る相手を見つめるのではなく、Webカメラを見つめた方が相手は見てくれているな、と感じるらしい。
長時間のWeb会議になると、Webカメラの意識が散漫になってしまうので心に留めておく。
笑顔、アイコンタクト、微表情の読み取りのページなどは奥深く感じた。
即実践できそうなのでは「受け継ぎの法則」
誰かが話ししているときに、自分の話を切り出す瞬間。
- 相手の声のトーンが下がった
- 相手が息継ぎした
- 相手が資料に目を落とした
誰しもなんとなく自然とやっていただろうけど、きちんと説明されると「なるほどね」となる。
主張を通したい場面
第3章では「オンラインで主張を通す言葉の使い方」が書かれている。
セミナーなどの講師、営業職が用いれば効果的そうに感じた。
一つだけ触れるなら「一文一義の原則」
1つの短い文章で意味を伝える。
これができていない人は結構見かけます。
伝える力を鍛える
本の終盤では、
- Web会議の事前チェック
- 顔の表情訓練
- 声のトレーニング
をどうすればいいか具体的に書かれている。
オンラインでパフォーマンスを発揮する人はここまでやるのか、と感嘆した。
【Web会議】で、見られる・聞く・話す能力を伸ばしたい人に向いた本
何もしていない素の自分でWeb会議に臨むのではなく、パフォーマーとして「自分」というキャラクターを演じることを鍛える。
Web会議で相手に本気で挑みたい人がターゲット。
オンラインセミナー講師、Web会議で上を目指す営業職、多人数Web会議でのファシリテーターなどに向いている。
日常のWeb会議でも、いくつかは即実践できそうなものがあったので、私もそこから始めたい。