「ICTツールを使ってWeb会議やチャットをする」というようにICTという言葉をよく見聞きします。
「ITなら知っているけど、ICTって何なの?」と疑問に思う方も多いはず。
そんなICTの概要(言葉の意味・背景・主なツールなど)についてご紹介したいと思います。
ICTって何?(ITやIoTとの違い)
ICTとは?
ICTとはInformation and Communication Technologyを略した言葉で、日本では情報通信技術と訳されています。
英語の中にCommunicationという記載があるように、ITの中におけるコミュニケーションの役割を重視していることが特徴です。
コミュニケーションを単に通信やネットワークと理解するだけではなく、導入した情報機器やツールを「どのように活用していくのか?」「人と人との繋がりをどう考えていくか?」、人とのコミュニケーションも含めて考えていくことが必要です。
ITとの違い
IT(Information Technology:情報技術)は、情報を取得、加工、保存、伝送するための科学技術のことで、わかりやすく言うとPCなどのハードウェアやプログラムなどのソフトウェアなどデジタル機器やデジタル化された情報・技術のことをいいます。
正しくは、ICTの中にITが含まれています。
日本ではどちらも似たようなものとして混同して使われることが多いですが、コミュニケーションを重視すると言う点で明確な違いがあります。
IoTとは?
カテゴリ的に似ている言葉としてIoTがあります。
IoTとはInternet of Thingsの略で「モノのインターネット」と訳されます。
様々なモノがインターネットに繋がるだけでなく、双方向の情報のやり取りによって相互に制御する仕組みのことを言います。
例として、スマートスピーカーやスマートフォンで家の中にあるインターネットに繋がった家電を操作できることなどがあげられます。
IoT化が進んだことで、帰ってくる途中でスマートフォンを使ってエアコンの電源を入れる、家にWebカメラを設置して外出先からペットの様子を見る、といったことが可能になりました。
ICTの歴史
ICTのはじまり
ICTという言葉は、古くは1980年代から海外の研究者の間で使われており、公の場で正式に登場したのは1997年のイギリス政府に向けた報告書が最初だと言われています。
また、2000年にイギリスの教育カリキュラムの中で使われ、広く認知されていきました。
IT技術が大きく進歩してきた時期と重なっており、国連ICTタスクフォースという組織が国連内にできたのもこの頃です。
日本でのICTのはじまり
日本では、超高齢化と人口減少に直面し、労働人口が減ることが現実的になる中で、地方創生といった言葉が叫ばれてきました。
超高齢化、人口減少、労働人口の現状、地方創生」といった問題に対応するためにICTの活用が急務となってきたのです。
また、同時期に世界の急激なIT化が進む中で、IT先進国を目指すために政府は2000年に日本型IT社会の実現を目指す構想、戦略、政策の総体としてe-japan構想を掲げ、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(通称:IT基本法)を成立させました。
IT基本法とあるようにこの時はまだITという言葉が使われています。
ITという言葉から変化があったのは、2004年のユビキタスネットワーク(いつでも・どこでも・何でも・誰でもネットワークにつながる)社会の実現を目指して掲げられたu-Japan構想からです。
u-japan構想の中では、IT戦略にCommunicationを加え、ICTの構築を掲げています。
u-japan構想の中でICTという言葉が使われ出した後から日本でもICTという言葉が徐々に普及していきます。
最近では、教育分野でも高度な人材育成を行うことを目的として、児童全員にタブレット端末などを配布、ICT教育の導入が進められています。
ICTツール(Web会議・ビジネスチャット)
テレワークやICTの推進が進められてきた中で、ICTツールの導入は必須となっています。
しかし、ICTツールと言っても様々なものがあります。
ここではICTツールとして、大きくWeb会議ツールとビジネスチャットツールの2つに分けて、代表的なサービスを紹介したいと思います。
Web会議ツール(Zoom,Teams,Google Meet等)
Web会議ツールの利点
- 映像と音声でやり取りできるため、コミュニケーションの質が圧倒的にあがる
- 文章ベースのやり取りを補完できる(意思疎通、齟齬の防止など)
- 多人数でやり取りできる
- 参加している人の顔が見える
- 画面共有ができる
- チャットの併用ができる
と言ったことがあげられます。
ここからは主なWeb会議ツールの特徴をそれぞれ簡単にご紹介します。
Zoom
- 全世界の1日あたりの会議参加者は3億人を超える
- 使い方はそこまで難しくない
- ホワイトボードが使いやすい
- 無料版と有料版があり、無料版では40分毎に再接続が必要
Microsoft Teams
- Microsoft系のソフトとの相性が抜群
- 無料でも使えるが、Microsoftアカウントが必要になる
- 無料版では1時間毎に再接続が必要
- ビジネスチャットツールとしても利用できる
- Office365を契約すると機能のほとんどが使用できる
- 有料版では、標準で会議のレコーディングができる
Google Meet
- Webブラウザ上で動作するため、専用アプリのダウンロードが必要ない
- 動画の画質は、無料版ではあまりよくない
- Google Jamboardは遅延があるものの使いやすく、記入した内容はPDF形式などで保存できる
- 無料版でも100人まで参加可能
Skype
- 基本的に無料で使える
- Microsoftアカウントが必要でやり取りする相手のアカウントを知っている必要がある
- 音質と画質は、無料版でもとてもよい
- 他のWeb会議ツールと比べて機能が少なめ
- 時間による制限はない
ビジネスチャットツール(Slack,Chatwork等)
ビジネスチャットツールの特徴
- 文章でのコミュケーション頻度を高めやすい
- メッセージを送りやすい
- 返信・コメントしやすい
- 後から見返しやすい
- 誤送信しづらい
- 連絡事項を見逃しにくい
といったことがあげられます。
ここからは主なビジネスチャットツールの特徴をそれぞれ簡単にご紹介します。
Slack
- 世界で一番利用されている
- さまざまなサービスとの連携やリマインド機能、カスタムスタンプが利用できる
- 無料版と有料版があり、無料版でも多くの機能が利用できる
- 無料版では画面共有などはできないが、通話のみなら音質がとてもよい
Chatwork
- 日本発のビジネスチャット
- シンプルでIT関係がちょっと苦手という人でも導入しやすい
Microsoft Teams
- Microsoft系のソフトとの相性が抜群
- 無料でも使えるが、Microsoftアカウントが必要になる
- Web会議ツールとしても使うことができる
- 画質、音質も比較的良好
- セキュリティ面での信頼度が高く、公的機関や研究者の間で多く利用されている
LINE WORKS
- ビジネス版のLINE
- 個人ユーザー向けのLINEと同じように使うことができる
- 個人ユーザーとも接続できる
主なツールを紹介してきました。
テレワークには不可欠で、とても便利な反面、いつも以上に自ら発信していくことが重要です。
また、会社によっては使用ツールが指定されていたり、相手の環境に合わせなければいけないときもあるので、それぞれ使いやすいものを選んでください。
まとめ
- ICT
Information and Communication Technologyの略。訳すと情報通信技術。ITにおけるコミュニケーションの役割を重視している言葉で"IT"も包括している。 - ICTの歴史
ICTは1980年代から使われている。ICTが公に登場したのはイギリスの報告書。日本ではu-japan構想(2004年)から使われ出した。 - ICTツール
Web会議ツール(Zoom、Microsoft Teams、Google Meet、Skypeなど)、ビジネスチャットツール(Slack、Chatwork、Microsoft Teams、LINE WORKSなど)が有名。テレワークには不可欠な存在。